最高裁判所第三小法廷 昭和40年(オ)977号 判決 1966年10月11日
上告人(被控訴人) 青木繁吉
被上告人(控訴人)
西宇和砂利協同組合
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告人の上告理由について。
上告人が、昭和三八年二月五日訴外太陽石油株式会社の取締役を解任され、同日右会社の代表取締役を退任した旨の原判決の事実認定は、これに対応する挙示の証拠によって肯認できないことはない。この点に関する所論は、原審の裁量に属する証拠の判断および事実認定を非難するに帰し、採用できない。
原判決認定の事実関係のもとにおいては、上告人が本件手形上の権利を取得しなかった旨の原判決の判断は、首肯でき、その間に所論の違法はない。されば、この点に関する所論も採用できない。
原判決において適法に確定した事実は、上告裁判所を認束する(民訴法四〇三条)から、当審においては、すでに原判決において判示された右確定した事実を覆すために、あらたに証拠の申出をすることは許されない。されば、この点に関する所論も採用するに由ない。
よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 柏原語六 裁判官 五鬼上堅磐 裁判官 田中二郎 裁判官 下村三郎)
上告人の上告理由
(第二審判決表示の記載省略)
右の判決の不当且つ不法且つ非常識且つ無能力者に依って第二審の判決は行はれておる事実を上告の理由とします。
一、上告人は本件手形の債権を収得するに至れる事情は控訴人代理弁護士の主張の如き上告人が太陽石油KKの社長の権限を現取締役移譲しておるものではありません。
二、即ち現在の太陽石油KKの法定取締役代表者は控訴人の主張する昭和三八年二月五日付にて解任の登記を受けし記憶もなく控訴人代理弁護人菊池誓春は被控訴人の居所と同一にして被控訴人が本件争の中心となれる太陽石油KKの現支配権者青木良作は発狂して無能力者となりおれる現情を奇化として菊池誓春並に裁判官は手形其の物の性格を敢て無視して被控訴人が違法に入手しをるを敢て手形の法律上の使命を法律的に原判決の不当且つ不法の根拠おも示さず単に架空の想定にて原判決の棄却の云ひ渡しを為したるは審理も不尽にして悉々上告人は上告の理由とする処であります。
三、尚上告人は上告の理由と真実を法律的に究明を乞為め異義を唱へ且つ棄却せし真相である之の手形を合法且つ平穏に当事者間において行はれたる証拠又之の手形が被控訴人の当然たる財産に属する疎明の為め証人として青木良作、村田三徳並に振出し当人たる渡辺国雄を是非証人並に参考人として御採用相成度く併て菊池誓春弁護人おも弁護人としての立場にあらざる太陽石油KKの内容と手形等の取扱上の知りおれる点の証言を求めます。
四、尚控訴人の主張する被控訴人に太陽の資産収得の資格なきとの反論として太陽石油KKの関税法違反事件の責任者資格に関しての当然手形持参せるもの財産たる疎明として義むにおいても被控訴人は尚裁判中は前資格者が権限を有する法律的観念は本件においても例外は許しません斯る事実を弁護人にして法律的に認識せられおるべき同市に同居しおる菊池弁護人を証人として御喚問相願い度更に手形の性格と本件判決の適否に関し被申立人は鑑定人の請求申立を為すものであります。
要は第一審の公正適当なる判決に対し第二審の判決は第一裁判官と被控訴人を世上噂されておる狂人なりと想定しての判決に過ぎず宜敷上告審にて徹底的御審理を仰ぎ度当事件に関しての疎明並に新しき申立て並に証拠は公判廷で必要に応じて提出します。